うまみキッチンコラムVol.6テーマ「仲間が集うテーブルを盛り上げる、にぎやかなグリル料理。」

Vol.6テーマ「仲間が集うテーブルを盛り上げる、にぎやかなグリル料理。」


近年、ワークライフバランスなど新しい価値観が浸透してきました。またテレワークなどコミュニケーションスタイルの変化を実感される機会も多いのではないでしょうか。そんな社会の変化は、食事のスタイルにも影響しています。仲間同士で集うイベントも、居酒屋での飲み会など「会社ゴト」が減る一方で、自宅やオフィスでの小規模な集まりが増えるようになってきました。こうした状況の中で、需要が増えてきたのがケータリングサービスです。今日はユニークなメニューで人気のケータリングサービスを提供しているシェフをお招きして、仲間と囲むテーブルを楽しくしてくれるお料理をご紹介いただきます。


【今回お料理してくださるシェフ】

小田陽太郎さん(写真)BURGER JAM TOKYO

スタジオに明るい笑顔で入ってこられ、慣れた様子で今日の料理の準備を進める小田さん。ケータリングサービスを始めたのはいつ頃から?「2020年ごろですね。提供する料理は、当初からハンバーガーやドフィノア(ポテトグラタン)、タルトタタンなど欧米スタイルのものが多いのですが、最近は和食やエスニックなど、バリエーションが増えてきましたね。声をかけていただいた場のニーズとその時に自分がはまっている料理を考えて提案するように心がけています」

お客さまの笑顔を想いながら、自分にしかできない料理を届けたい

どんなきっかけで開業されましたか?


「料理家の母親が自宅で料理教室を開いていた影響もあって、料理するのも食べるのも大好きでした。母に小さい頃からいろいろな店に連れて行ってもらい、本当においしいものや料理の奥深さと楽しさを教えてもらった経験が大きいと思います。20代になると仲間で集まるときに自分が料理する機会も多く、そのうち評判になったんです。なんとなくいつかは料理の道に進むのかな、程度に考えていたころ、イベントのシェフとして徹夜で仕込みをしたりだとか、さまざまな機会をいただいたりするうちに、料理を一生の仕事にしたいと思うようになりました」


どんなメニューがお客様から人気なのでしょう?


「お客さまからよくリピートいただくメニューは、ハンバーガーや牛丼ですね。スパイスや調味料の配合、使う肉の部位や火の入れ方、一緒に合わせる具材も試行錯誤して、よそでは食べられない味に仕上げられていると思います」


小田さんがお料理するときやお料理を届けるとき、大切になさっていることを、教えてもらえますか?


「自己満足にならないこと、それと自分にしか作れないクオリティになっているかどうかですね。料理を召し上がる方は大切なお金や時間を使ってくれているのですから、自分が料理をする意味や価値を少しでも感じてもらえるように、ベストを目指しています」

「今日のタコスの具材は、フランスの郷土料理がベース。ちょっと目先を変えたおいしさを」

ケータリングの際は、現場のキッチンやお客さまの様子に臨機応変に対応できるように、あらかじめ準備できることはすべて先に終えておく、という小田さん。


「今日はタコスとサラダのご紹介になりますが、トルティーヤは事前に焼いて持参しました。トウモロコシの粉で作るんですけど、市販のものでも良いと思います。ご自宅で再現しやすいように、食材は全てスーパーマーケットで手に入るもので作りますね」


タコスの具材はタコミートやワカモレですか?


「今日はせっかくル・クルーゼのグリルを使えるのですから、ル・クルーゼが生まれたフランスの郷土料理カスレをタコスにアレンジしてみようかなと」

え?カスレですか?白いんげん豆とお肉の煮込み料理ですよね。


「そうです。今日は2種類のお肉とソーセージを用意しました。煮込んだカスレのお肉とそれをさらにグリルしたものをタコスに使おうかと思います」


会場に今日のゲストである小田さんのご友人たちも集まりました。


「今日はみんなにすこし手伝ってもらうかも(笑)」

和気あいあいとした空気のなか、小田さんは火元にシグニチャー ココット・オーバルをセット。

オリーブオイルでニンニクとローズマリーを炒めた鍋に、鶏肉を皮目から入れて両面に焼き目がついたら一旦取り出します。

次に同じ鍋で豚肩ロースをまんべんなくグリル。

お肉を焼く作業が終わった鍋で、今度は玉ねぎをソテーしていきます。


ワインと調味料、白いんげん豆を加えて煮込んだカスレのお鍋から立ち上がる良い香り。


「カスレはル・クルーゼなら約40分が、煮込む目安です。ワインの香りが立ってきたら完成ですね」

さて、次はカスレで煮込んだお肉を一口サイズに切り分けて、シグニチャー ディープ・ラウンド・グリルで焼いていきます。


「ル・クルーゼのグリルはグリル面が波形状になっているので、余分な油を落としやすい。それとやっぱり短時間で火が均一に入ること、おいしそうな焼き目がつくところがうれしいです。お肉はグリルに入れたら、あまり動かさないことです。そうすることでおいしい焼き色がつきますから」

タコスに合わせるお肉の作業をしつつ、次はソース作り。今日のタコスにはどんなソースを合わせるのですか?


「お肉に存在感があるので、食べ疲れしないようにバランスの良いソースを用意します。ひとつはサルサソース。今日は辛いものが苦手な人も食べやすいよう辛味がないタイプを作りましょう。それと、ヨーグルトソース。こちらはディルを刻んで合わせます。三つ目はアボカドソース。ライムを絞って調えます」


さあ、そろそろタコスの準備が調ってきました。


「ル・クルーゼのお鍋ならそのまま食卓にサーブできるし、食卓が華やかな雰囲気になるところも好きです」

「手間をかけずとも、贅沢なボリューム感の出るサラダを合わせましょう」

水切りしたルッコラとプチトマト。オリーブオイルとバルサミコクリーム。今日はどんなサラダになりますか?


「気のおけない仲間が集まる機会なので、いつもより少し贅沢感のあるサラダにしたいと思います。今回ご紹介するタコスはソースも含めると手間もかかっていますし、料理する時間全体も考えてなるべく簡単に作れるサラダメニューを意識しました。このサラダの主役は焼いたカマンベールチーズです。ドレッシングに使うバルサミコクリームは輸入食材店で手に入ります。お手元になければクリームよりも少しさっぱりした仕上がりになりますがバルサミコ酢でも良いと思います」


アツアツのチーズを野菜に合わせるのですね。なんとなく食感のギャップが楽しそうな一品です。


「カマンベールチーズは、丸ごとル・クルーゼのグリルで焼きましょう。チーズに亀裂などが入らないように丁寧に焼いていきます。放っておくとどんどん溶け出してしまいますので、目を離さずに。フライパンで今回の仕上がりを目指すと焦げてしまう可能性が高いですが、このグリルだと焦げることなく焼き目がついて、中だけとろける焼き上がりになりますよ」

「仲間が集まるとき、こんなシェフがいると間違いなく楽しい!」

温め直したトルティーヤが次々にお皿に盛られていきます。カスレのお鍋もそのままテーブルに運ばれてきました。フランスの郷土料理の概念を覆すようなオリジナル料理の完成です!


「お鍋で煮込んでからグリルしたお肉やソーセージをトルティーヤで挟んで、好きなソースを合わせてもらえれば。カスレのお鍋に温まった豆や野菜もおのおので好きなだけ取り分ければ、タコスとカスレ、二通りの楽しみ方ができますよね」


焼きカマンベールのサラダは、見た目のシズル感もあって取り分けるのも楽しい。今日はゲストのご友人たちにも料理に参加してもらったせいか、いつもよりスタジオに一体感があります。さて、今日のお料理、いかがですか?

「毎回、料理をいただくたびにメニューが新鮮で。今回も、新しいおいしさでしたね」


「レシピや料理のコツを教えながら作ってくれるので、そこも楽しいですね」


「お母さんの影響もあって、おいしさの感覚とか想像力が備わっているんですよね。なかなか思いつかない料理を楽しめます」

家族や仲間と囲む食卓は、とっておきの思い出になってほしい

ところで、小田さんが想う「豊かな食卓」ってどんなイメージでしょうか?


「食べる人のことを考えて作られた料理がならぶ食卓かなと思います。簡単な料理や残り物のアレンジでも、そうやって作った料理がならぶ食卓は気持ちが入っていて豊かだと思いますね。家族や仲間と囲む食卓は、濃い時間、とっておきの思い出になってほしいです。今日のゲストも学生の頃は毎週のように遊んでいたメンバーですが、30代に差しかかかるとさすがに昔ほどは集まれなくなるものです。なので、集まれる時間がおいしい料理で少しでも濃い時間になればいいなと思っています。あとは気分が下がっている時や悩みごとがあっても、食事の時間だけはおいしいもので幸せを感じてもらえたらうれしいです」

Recipe1.フレンチタコス

材料(6人分)

  • 豚肩ロース 500g
  • 鶏もも肉 1枚
  • ソーセージ 6本 ★
  • 白ワイン 600ml ★
  • 玉ねぎ 2個
  • ニンニク 2かけ
  • 白いんげん豆の水煮 1パックまたは1缶(380g程度)
  • レモン 適量
  • ローリエ 1枚 ★
  • ローズマリー 1本
  • オリーブオイル 大さじ1
  • 塩 大さじ1/2 ★
  • イタリアンパセリ 1/2パック
  • トルティーヤ 12枚程度

作り方

[カスレ]

  1. 鍋にオリーブオイルと半分に切ったニンニク、ローズマリーを入れて、弱火で加熱する。茶色くなったらニンニクを取り出し、中火に。
  2. 鶏肉の皮目を下にして鍋に入れて両面に焼き目がついたら一度取り出す。
  3. 強めの中火にしてから豚肉の表面を焼く。全体に焼き色がついたら一度取り出す。
  4. 玉ねぎを5mmほどの厚さに切り、肉を焼いた鍋で玉ねぎが透明になるまで炒める。
  5. 透明になった玉ねぎの上に1で焼き目をつけた鶏肉と豚肉をのせ、1で取り出したニンニクと★をすべて入れる。煮立ったら弱火にし、蓋をして30分間煮込む。
  6. 30分ほど経ったら、水気を切った白いんげん豆を鍋に加え、蓋をして弱火で10分煮込み、カスレは完成。


タコスの準備

  1. 煮込んでいる間にグリルでトルティーヤを温めておく。
  2. 煮込んだ鶏肉と豚肉をカスレから取り出し一口サイズに切り、オリーブオイル(分量外)を薄く引いたグリルで両面に焼き目をつけて、みじん切りにしたイタリアンパセリ、塩を振り、レモンを絞る。
  3. トルティーヤに肉やいんげん豆、グリルを使って焼いた野菜などに、お好みのソースをのせて完成。

[3種のソース]


レッドサルサソース

  • トマト 2個
  • ラディッシュ 5個
  • 玉ねぎ 1/2個
  • ニンニク 1かけ半
  • オリーブオイル 大さじ2 ★
  • 白ワインビネガー 大さじ1 ★ ※リンゴ酢やレモン汁で代用可
  • イタリアンパセリ 1/2パック ※好みでパクチーに変更可
  • 塩、コショウ 1つまみ ★ ※サルサが塩辛くならない程度にお好みで



  1. トマトは角切り、ラディッシュを薄めに切り、玉ねぎとイタリアンパセリはみじん切りにする。
  2. 玉ねぎは、辛みを取る為に15分程度水につけておく。
  3. ボウルに★とすり下ろしたニンニクを入れて、よく混ぜる(白っぽく乳化するまで)
  4. 水気を切った玉ねぎと刻んだ野菜を混ぜ合わせる。

※辛みを足す場合は、お好みでハラペーニョや青唐辛子、チリソースを入れても。


グリーンソース

  • アボカド 2個
  • 水 大さじ5~10
  • ニンニク 1かけ
  • ライム 1個 ※レモンで代用可
  • 塩、コショウ 1つまみ


  1. アボカドの皮をむいて種を取り除き、ボールに入れフォークで荒く潰す。ある程度潰したら、濾してなめらかにする。※こし器がなければザルでもOK。
  2. すりおろしたニンニクと絞ったライムを加えてよく混ぜる。
  3. お好みの柔らかさになるように水を加える。
  4. 塩コショウを加えて完成。 ※肉にも味が付いているので、塩気は弱めがオススメです。

ホワイトソース

  • ヨーグルト 大さじ4 ★
  • レモン 1/2個 ★
  • ニンニク 1かけ半
  • ディル 1/3パック
  • きゅうり 1/2本
  • 塩、コショウ 1つまみ ★


  1. ディルは堅い軸を除きみじん切りにする。
  2. きゅうりは、5mm角程度の細かい角切りにする。
  3. すりおろしたニンニクと★を混ぜ合わせて、刻んだディルときゅうりを加える。

Recipe2.焼きカマンベールチーズのサラダ

材料(4~5人分)

  • カマンベールチーズ 1ホール ※切れていないもの
  • パプリカ 2個
  • ルッコラ 2袋
  • プチトマト 5個
  • エキストラバージンオリーブオイル(オリーブオイルでも代用可) 大さじ2
  • バルサミコクリーム 大さじ2
  • 塩 1つまみ
  • レモン 1/4個

作り方

  1. 中火で熱したグリルで、パプリカとチーズを温める。
  2. パプリカの表面に焼き色がつき、チーズが柔らかくなったら取り出し、一口サイズに刻む。
  3. 洗って水気を切った、ルッコラを一口サイズに刻み、半分に切ったトマトとパプリカ、オリーブオイルを混ぜ合わせる。
  4. 1のチーズをのせて、バルサミコクリームをかけて、塩を振り、レモンを絞る。※バルサミコ酢で代用する場合、バルサミコ酢大さじ1+蜂蜜小さじ1をよく混ぜて使用。

今回使用したお鍋

今回ご協力頂いたお店

BURGER JAM TOKYO



店名は、様々な友人やお世話になっている先輩方とジャムセッションのように、料理を通して一緒になにかをしたいという想い、いままでの枠にとらわれずいろいろなアプローチで新しい味を作りたいという想いから。「いまは架空のレストラン、というコンセプトでやらせていただいています。自分が行けばその場でおいしいものが出てくる、みたいなゆるい感じでしょうか。今後は、時間をかけずにヘルシーで人生が少しだけ変わるようなおいしい料理を提供できる、新しいファーストフードみたいなジャンルのお店を作りたいです」


BURGER JAM TOKYO

小田陽太郎

Instagram: @burgerjamtokyo 

burgerjamtokyo@gmail.com