うまみキッチンコラム素材に向き合う丁寧な姿勢とたしかな道具

2021年04月23日更新

素材に向き合う丁寧な姿勢とたしかな道具

ル・クルーゼの魅力とともに、丁寧にうまみを引き出すことの豊かさを提案している「UMAMI KITCHEN」。今回は日本のフランス料理界を牽引し、日頃からル・クルーゼを多用しているという谷昇シェフにうまみに対する想いや考え方についてお話を伺いました。

うまみを左右する「塩」の使い方

塩は普段の料理の中で最もよく使う調味料の1つ。食材のうまみを引き出したり、料理の味を深めたりとさまざまな用途で使用されています。素人からすると、どれも同じなのでは?と思いがちですが「塩はすべての味付けのベースになる、最も重要なもの」と谷シェフはいいます。


実際に谷シェフのレストランでは、ミネラルを多く含んだ沖縄産の塩を使用しており、食材の特徴を見極めながら丁寧に加えているのだとか。

「例えば、鶏肉と豚肉、お肉の種類によっても塩が浸透する時間は異なります。鶏肉の場合は、しっかりと素早く塩を揉み込むことがポイント。塩の浸透が早いぶん、時間が長くなると余計な水分が出てしまうんです」

食材は季節によって変化するもの。つまり、その日の状態をよく見極めながら、いい塩梅で塩を加えることが素材本来のうまみを引き出すヒントになると谷シェフは考えているのです。


また、サラリー(salary)という言葉の語源は塩(salt)からきていると言われており、歴史の中では塩を通貨として使っていた例が存在するのも事実。

「塩は私たちの体はもちろん、社会にとっても無くてはならないもの。食材の背景を知ると、料理にも深みを与えることができますよ」


そして、塩とともに欠かせないのがル・クルーゼの鍋です。

世代を超えて受け継がれる鍋、それがル・クルーゼ

「フランス人シェフの元で働いていたとき、初めて見たのがル・クルーゼでした。高い機能とデザイン性はもちろんですが、フランス料理の奥深くにある想いや文化が表われた僕にとって憧れのお鍋。お店だけではなく、ふだんの料理にもル・クルーゼを使っています」と、もはや生活の一部になっている様子。お気に入りのポイントを伺うと


「おいしさの秘密は、この密閉しないドーム型のフタ。素材を包み込むように対流し、ゆっくりと丁寧に火が入っていくことで、うまみがぐんと深まります。密閉しない分、蒸気と一緒に余計な雑味は外に逃してくれる。だから、塩だけでも食材本来の味わいをじゅうぶん楽しむことができるんです」

ご自身の結婚当初、フランスで購入した3つのル・クルーゼは奥様から娘さんへと受け継がれているのだとか。プロの料理人から一般家庭の主婦まで世代を超え、国境を越えて愛されるル・クルーゼの鍋。たしかな道具を手元に置いて使い続けることも、暮らしを豊かにする秘訣なのかもしれない。

今回ご紹介するレシピ

  • 肩ロースの蒸し煮
  • うまみバターライス
  • 鶏もも肉と野菜のフリカッセ


谷シェフに教えていただいたレシピは、丁寧に塩を振って、ル・クルーゼの鍋を使うだけで奥深いフレンチです。

RECIPE / 豚肩ロースの蒸し煮

材料

[5~6人分/ココット・エブリィ 18]


  • 豚肩ロース 1kg
  • 塩 12g
  • 白ワイン 200ml
  • 皮付にんにく 1房分
  • 唐辛子 1本

作り方

  1. 豚肩ロースに塩をよくすり込み、ビニール袋等に入れ4~5日ほど冷蔵庫に入れる。
  2. 鍋に1の豚肩ロース、白ワイン、皮をつけたままのにんにく、唐辛子を入れる。
  3. フタをして極弱火で2時間火を入れる。
  4. 肉を取り出し、スライスしてにんにくを添える。

RECIPE /うまみバターライス

材料

[4人分/ココット・エブリィ 18]


  • 米 2合
  • 水 300ml
  • バター 50g
  • ジビエの塩辛 20g

※ご家庭では、ジビエの塩辛の代わりに手に入りやすいイカの塩辛もおすすめです

作り方

  1. 鍋にバターを入れ、溶けたところへ洗わないお米を加えバターをすわせるようにし、お米が軽く熱を持つまで弱火で焦がさないよう炒める。
  2. 水を加える。
  3. 水が沸いたらフタをし、極弱火でフツフツとなっている状態で約20分間加熱する。
  4. 火を止め、少しご飯を冷ましてからジビエの塩辛を混ぜ合わせる。(塩辛はお好みに応じて味を見ながら足して下さい)

RECIPE /鶏もも肉と野菜のフリカッセ

材料

[4~5人分/シグニチャー ココット・ロンド 20cm]


  • 鶏もも肉(骨なし) 大2枚
  • 塩 4g


(A)

  • 玉ねぎ 220g(4分の3個)
  • にんじん 180g(約1本)
  • じゃがいも (メークイン) 260g(約2個)
  • セロリ 皮を剥いたもの 100g(約1本)
  • かぶ 中玉3個
  • マッシュルーム 12個
  • 緑野菜(いんげん・ブロッコリー等) 200g


  • 水 2L
  • バター無塩 70g
  • 強力粉 70g
  • ロックフォールチーズ 70g
  • 黒胡椒 適宜

作り方

  1. 鶏もも肉に塩を振り、30分間置いた後、4~6等分に切り分ける。
  2.  玉ねぎはくし切りにする。にんじん、じゃがいもは乱切りにする。セロリは3センチくらいに切る。かぶはくし切りで8等分にする。マッシュルームは小さなものはそのまま、大きいものは半分に切る。緑野菜は食べやすい大きさに切る。
  3. 鍋に水を入れる。1の鶏もも肉を加え、軽く沸騰させアクを完全に取った後、10分ほど煮る。(A)の野菜を加え、再度10分ほど煮る。
  4. ざるにあげ、食材とブイヨンに分ける。
  5. バターを弱火にかけ溶かし、そこに強力粉を加え、サラサラになるまで炒める。
  6. 弱火のままで少しずつだまにならないように4のブイヨンを加え、一度沸騰するまで火にかける。
  7. 更に4の食材を加え、中火で五分ほど火を入れる。
  8. 最後に緑野菜・マッシュルームを加え、中火で5分ほど火を入れる。
  9. 仕上げにロックフォールチーズ・黒胡椒を振る。

シェフ

谷 昇

ル・マンジュ・トゥー オーナー・シェフ

1976年と1989年に渡仏。アルザスの3つ星「クロコディル」2つ星「シリンガー」などで修業。1994年に「ル・マンジュ・トゥー」をオープン。